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落ち着くのはなぜ


普段は家のまわりをうろうろしながら生活しているのだけれど、文章を書くときだけはちょっと遠くてもカフェまで行くようにしている。

うちにいると違うことばかり考えてしまうし、家の中のやらなければならないモロモロが目に入って落ち着かない。

まあそんなにたいした文章を書く(書ける)わけじゃないが、気持ちの問題として。


で、その行きつけになりつつあるカフェというのは、こんなことを言うと失礼だと思うが、新しくもなく古くもなく、どうということのないごく普通の内装である。

それなのに、なんで落ち着くのか理由を考えてみた。カフェをぐるぐる見渡しながら。


ちょっと薄暗いところ、いい感じにざわざわしているところ、一人席が多いところ。

いや、そんなことより一番の素敵ポイントは、壁に適度なシミがあるところだろう。

鉛筆やペンで引っ掻いたのか、コーヒーや何かが飛び散ったのか、その汚れ具合がちょうどいいのである。特に私が古いものが好きだというのもあるのだろうけれど。


不思議といえば不思議。店側の意図に関係なく、客がつけたシミが別の(ここでは私の)居心地に影響を与えているのである。

古い建物が魅力なのは、そこに人が長い時間をかけて作りだした気配のようなものを感じるからなのかもしれない。


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