描くか描かないか
描くことは楽しくもあるけれど、苦しいことの方が多い。
例えばしばらくの間、何もしない、つまり描かないでいると心は穏やかになる。つつがなく1日は終わるし、毎日なんだかんだとやらなければならないこともある。なんだ、描かなくてもいいんじゃないかとさえ思う。そうでなくても心が乱されたりするのは日々あって、これ以上増やすこともないんじゃないか。穏やかでのんびりした暮らしは心地いいし。
でも、そんな日を繰り返していると考えるようになる。何かが足りない。それはなんというか、ジリジリギザギザしたもの。うまくまとまった居心地の良さとは反対の、不安定で曖昧な感覚といった感じのものが自分の中に溜まってくる。うまく言えないけれど。
そいつたちを解き放って表現したくなってくるのかもしれない。他の表現方法ができないので私は絵を描く。
鉛筆を取り出し、水入れに水を入れ、絵の具を用意し机に向かう。なんでもない日になんでもない絵を描く。
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